カテゴリ:book/読むこと( 42 )

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そもそものきっかけは、昨年5月に河出書房から新装刊行された中上健次のムック、そこに掲載されていた中上と村上龍と柄谷行人の対談だった。語られていることは現在にも地続きと感じて、この人が今何を考えているのか知りたいと思った。震災後、ということが大いに関係していたと思う。色々な情報が氾濫するなかで、いままで色んなことに無関心すぎた私はどのように考えていくべきかわからないでいた。

読んだ本は以下。(読んだ順)
柄谷公人中上健次全対話(講談社文芸文庫)
闘争のエチカ(河出文庫) 蓮實 重彦との対話;再読
柄谷行人 政治を語る (図書新聞)
世界史の構造 (岩波書店)
「世界史の構造」を読む (インスクリプト)

柄谷氏の著作は難解なため、対話などの読みやすいものから追っていったところ、これがとてもよかった。特に「政治を語る」を読んでから「世界史の構造」に入ると、あらかじめ考え方の骨子がわかっているので、とてもわかりやすい。初心者にはおすすめです(笑)。

内容は「交換様式」から世界史の構造を捉えなおす、というもの。
A:互酬(贈与と返礼)
B:略奪と再分配(支配と保護)
C:商品交換(貨幣と商品)
D: X (Aの高次での回復)
この4つの分類について「政治を語る」から「世界史の構造を読む」の3冊において繰り返し語られる。基本的にAからDの順で主流の交換様式は移り変わってきているが、どの時代においても他の要素もある。今の先進国の主流はCだけど、AやBも残っている。Aはご近所様的な共同体とBは国家による福祉政策などを示す。かつてのソ連などの社会主義は国家による強制再分配であるからB、ということになる。

読んでみて、マクロ的に世界のありようが見えたのみならず、自分の将来に対する漠とした不安も解けた気がした。不安、というのは曖昧模糊としているから不安なのであって、どういうことなのか構造的に把握できれば、心構えとかどう考えるべきかの視点が定まる。焦点が合う、という感じ。この本の考え方が全て正しいかどうかはわからないけど、震災から1年、ここを立ち位置として生活も仕事も原発のことも考えていけるような、そういうものにやっと出会えたという清々しい感じがしている。柄谷氏の「日本近代文学の起源」も学生時代の私にとってエポックな本だった。やはりこの人は私のマイルストーンだ。

Cは終焉に近づきつつあって、最後のあがきとして戦争が起こる可能性は高い、と柄谷氏はいう。Cに代わるものとして、D(X)がある。Dとは何か、Aの互酬の高次の回復であるという。いわゆる社会主義はDを志向していたが、結局Bだった。DはCを通過しないと実現されない。Dとは何か。たとえば宗教とか共同組合とかそういうものが近い。

Dについて、たまたまこれらの本を読んでいる間に読んだ本が思い当たった。本当に偶然。だけど本が本を呼ぶ。近いうちにその本について書きます。



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読書会のことを続けて書いてみます。
読書会では折に触れて本を贈る機会があります。
本を贈る、というのは普通のプレゼントに比べてちょっと難しい気がします。
相手のことをより深く知っている必要があるように思うし
そもそも本を読まない人もいるでしょうし。

最初はおととしの12月から。
クリスマスにプレゼント交換ならぬブック交換をしようよ、
という企画が始まりでした。それから機会が4回ほど。
これも備忘録として、贈った本、いただいた本を記録しておきます。
わたしはいたって真面目にいいなと思う本を選んだので笑、
このブログでも取り上げている本が多いです。
皆が用意した本はネタ的なものもあり、このあたり個性が出るのも面白いところ。
課題図書を考えるのとはまた違った面白さがあります。

2008年12月 クリスマスのブック交換(くじびきで)
贈った本:「ラブレーの息子たち」四方田犬彦(新潮社)
いただいた本:「オトコとオンナの深い穴」大田垣晴子(メディアファクトリー)
※ブックカバーなしでははばかられる表紙に、ネタかと思いきや、
 意外と真面目なジェンダー論笑。さすがのチョイス!

2009年1月 退職されたS先輩に
贈った本:「モンテ・フェルモの丘の家」ナタリア・ギンズブルグ(河出世界文学全集)
 ※これまで、ここまで本の趣味が合う人に会ったことがなかったS先輩に
  贈る本はこれしかない!という即決チョイス。

2009年12月 クリスマスのブック交換(くじびきで)
贈った本:「天馬空を行く」冥王まさ子(河出文庫)
いただいた本:「ディケンズ短編集」(岩波文庫)
       「蝿の王」ゴールディング(新潮文庫)
 ※S先輩による英文学セレクトが当たりました。ゴールディングは学生の頃に読んで、
  映画も見たなぁ。実家にも文庫があります。この機会に再読。

2010年3月 結婚されたUさんに
贈った本:「海からの贈り物」アン・モロウ・リンドバーグ(新潮文庫)
     「第七官界彷徨」尾崎翠(河出文庫)
  ※このセレクトはなかなか難しかったので、20年後と10代の頃を意識した
   2冊のチョイスにしてみました。

今年も早いもので10月。もうすぐ3回目のブック交換の季節が近づいています。
そろそろ今年はなにを贈るか考えておかないとなぁ~。

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またまたご無沙汰してしまっており…。
2010年はライブとレコードの一年です。すごいことになっています。
空白の5年間を取り戻すような勢い。
そんなわけでマラソン&読書は鳴りを潜めていますが、読書会は続けています。
すごい、継続は力なり、ですよ。てことで備忘録をアップしておきます。
参考図書は自主的に持参したり、この機会に合わせて読んだりしたもの。

第15回 09年10月「インド夜想曲」アントニオ・タブツキ 
     @市ヶ谷のインド料理屋

第16回 09年12月「1984年」ジョージ・オーウェル
     @恵比寿のアイリッシュパブ
     参考図書:「動物農場」ジョージ・オーウェル

第17回 10年1月「深い河」遠藤周作
     @四谷のインド料理屋
     参考図書:「沈黙」遠藤周作

第18回 10年2月「孤島の鬼」江戸川乱歩
     @中目黒の鶏料理屋
     参考図書:「黒猫・モルグ街の殺人」エドガー・アラン・ポー
          「江戸川乱歩短編集」

第19回 10年4月「コンセント」田口ランディ
@目黒の沖縄料理

第20回 10年5月「死神の精度」伊坂幸太郎
     @品川の小料理屋

第21回 10年6月「ジェネレーションX」ダグラス・クープランド
     @我が家ベランダにてサタデーモーニング読書会

第22回 10年7月「独白するユニバーサル横メルカトル」平山夢明
            「黒猫」エドガー・アラン・ポー
     @品川の洋食屋

我が家で開催したモーニング読書会は新機軸。
パンを買って、サラダとか卵料理など朝ごはんを用意して10時から開催しました。
メンバーの皆様、朝型です笑。
伊坂幸太郎とか今どきの作家を読んだのもなかなか新鮮でした。
次回は来週、1年ぶりに熱海のI氏邸にて開催です。

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すっごく久々に更新します。
先にも書いたようなtwitter の twitterたる所以にすっかりハマりました。
mixiもすごいと思ったけど、twitterの距離感たるや。
全然知らない人と音楽ネタで盛り上がったり、15年以上ぶりに旧友に再会したり。
140文字という絶妙の世界観に慣れてしまうと、
腰を据えて文章を書くことも読むことも、ちょっとテンポが違う感じで。。。
あとは、ライブに行きまくっている、というのもありますね。
ここ5年くらい遠ざかっていたのが信じられないくらい行ってる笑。

ということで色々な要素から音楽ウェーブが盛り上がってる2010年、
読書ペースが落ち気味なのですが。
1Q84のレビューも続きを書こうと思っていて止まったままになっていたのだけど、
BOOK3 を読んで激しくガッカリしたので、久々にレビューを書くことにしました。

BOOK3の世間的評価ってどうなんだか全然知らないけど、
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1,2で村上春樹が自分のポピュラリティをあえて逆手にとって
挑んだようにみえた問題提起は全くなくなっていて、
何の展開も発展もない後日談がはっきり言って
だらだら続く。600ページも。
正直、途中からかなりうんざりしてきたのだけど、
もしかしたら最後になにかあるかと思って読み続けたら、
最後までなにもなかった笑。「もしかして話題になりすぎた1,2へのアンチテーゼとしてあえて駄作を提示したのか?」とか考えちゃったよ。
いや、わかりやす~いハッピーエンドで喜ぶ人もいそうですけどね。

1,2を書いた直後の村上春樹のインタビューで
「続きを書くつもりはまったくなかったけど、書き終わったら書きたくなったので
続きを書き始めた」的なことを言っていたけど、それがこれ?
村上春樹はこの作品をセンチメンタルな叙情小説にしたかったのだろうか。
個人的には村上春樹はすごく好きな作家というわけではなく
「スプートニクの恋人」でがっかりして2000年代の作品は読んでなかったのを、
読書会の課題図書になったので「1Q84 BOOK1,2」を読んで感心して
「海辺のカフカ」をさかのぼって読んだりしたので、本当にがっかりした。
またしばらく村上春樹を読まなくなりそうだ。

1,2で行われていた、自らが持っている長編作家としての「物語力」でもって
あえてポピュラリティな要素を取り入れ、文体スタイルを変えて挑み、
多くの人に届けようとしたもの、
それがこのBOOK3に帰結しているとは私は思いたくない。1,2がかわいそうだ笑。
作家自身が、そしてほかの読者がどう思っているかはわからないけど。


1Q84 BOOK3(新潮社)
村上春樹

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もう20年来もの友達、Y嬢がいよいよ渡米するにあたり、本棚いらない?と。
片付けの始まっている部屋に本棚の寸法を測りにお邪魔したら、
好きな本を持って行っていい、と言われて古本屋にでもいるかのような
真剣チョイスぶり。私も持っている本もあったりして、やっぱり友達だなぁと。

その本棚があったかい小春日和の土曜日の午後、届きました。

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サイズぴったり。まずはもらった本を並べて、記念撮影。
レベッカ・ブラウンは私が好きそう、って薦めてもらって読むのが楽しみ。
ありがとう、大事にするね。
どんな本棚にしようか、考えるだけでワクワクします。

今までもしばらく会わなかったりしたことがあったけど、
会えばすぐ、おとついあった~!?みたいな感じになれるのが
さすが20年の重み。だから、ちょっとさみしい気もするけど、あまり心配しません。
Y嬢の新生活、応援してるよ~!
Twitterもあるしね!ビバテクノロジー!

そう、ついにtwitterはじめてしまったんですよ。
ヤバいです。意外とつぶやいてます。

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ふらっと立ち寄った某BOOK OFFにて、
買いそびれているうちに品切れになってしまった
ナタリア・ギンズブルグ「マンゾーニ家の人々」(須賀敦子訳)を発見!!
しかもちょっと意外な場所に。。。。
で、思わず興奮してしまって、つい5000円以上も散財。。。重かった。
でも、次回読書会の関連図書モーリアック「愛の砂漠」も見つけちゃったしな!
(しかし、すごいタイトル。。。)

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5冊もイッキ買いはめずらしいけど、
毎週のように買ってしまうんですよ。中毒。。。。
2月ももう10冊くらい買ったかも。
がんばって読んではいますが、
明らかに読むペースを超えてます。レビュー書くペースも。

最近CDとか本とかライブとかの散財が凄い。
まるで20代の頃のようです。
ま、目指せノーリミッター中年ということで笑。

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読むペースを上回る勢いで、本を買い続けています。
今に始まったことじゃないけど。。。
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11月から古本屋で買った本。買ったお店は以下(順不同)。

西荻窪・古書 音羽館
高円寺・古書 十五時の犬
白金・白金ブックセンター、ブックオフ白金台店
大阪・berlin books
京都・ELEPHANT FACTORY COFFEE
横浜・誠文堂
五反田・ブックオフ五反田店
中目黒・たらの芽書店
自由が丘・東京書房、ブックオフ自由が丘店

買っていない古本屋もあるから、一体何軒めぐっているんだろう。。。
でも、古本屋さんって、個性がいろいろでおもしろくてやめられません。
どっかに行く時は事前に古本屋をチェックしています。
おすすめ古本屋さん、教えてください笑。
最近はすっかり本シフトですが、レコード屋もしかり、ですね。
本とかレコードというモノ自体が好きなのでつい買っちゃうんですよね~。
買った以上は頑張って読まなければ。頑張ろう。
(しかし、11月以前に買ったものもまだかなり。。。)

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モロッコのことももう少し書こうと思っているのだけど、本のことを書きます。
読書会、第10回目までは書いたけど、そのあとも一応順調に続いていて。

第11回 7月「蜘蛛女のキス」マヌエル・プイグ (@表参道のブラジリアンカフェ)
第12回 8月「1Q84」村上春樹 (@渋谷のアメリカンダイナー)
第13回 9月「風に舞い上がるビニールシート」森絵都(@表参道のスペインバル)
第14回 10月「木曜組曲」恩田陸(@熱海のI氏邸)

なんかベタなラインアップですが。。。。まあしょうがないけど。
大好きなプイグは別として、こんな機会がなかったら読まない本なので、
貴重ではあります。「1Q84」もたぶん文庫になるまで読まなかっただろうな。。。
と思うのですが、読んでみたらベストセラー街道まっしぐら中に読むのも悪くない、
と素直に思うところがあったので、その「1Q84」のことを書きます。
借りて読んだので、手元にないんだけど笑。

わたしは熱心な春樹フォロワーではないけれど、
長編小説は2000年代の作品より前のものは大体読んでいたのですが、
(「スプートニクの恋人」にがっかりしてそのあとから読んでない)
「1Q84」を読んでちょっとびっくりしたんですよね。
すごく簡単に書くと「これって『羊をめぐる冒険』じゃん。」って思ったのと、
「村上春樹ってこんなに社会派っぽかったっけ?」って。
「社会派」っていうのは、より色んな人に間口が広がった感じがした、
という意味なんだけど。恋愛とか暴力とかの要素が全般にわかりやすく、
より色んな切り口で共感を呼びやすい小説になっていると思ったわけ。

先にも書いたように熱心なフォロワーじゃないので、
インタビューとかちゃんと追いかけているわけじゃないんだけど、
99年のインタビューで「コミットメント」と「デタッチメント」について
語っていたことを思い出した。自分は今まで「デタッチメント」の小説を書いてきたけど、
これからは「コミットメント」の小説を書きたい、というようなこと。
ちょうどサリン事件の本を出したあと。この小説がそういうことなのかな、と思ったら
急にまだ読んでいない2000年以降の作品を読んでみたくなって「海辺のカフカ」を読んでみた。

そしたらまたびっくりしたんですよね。また同じ話で、
しかもどうして村上春樹が同じことを書き続けているのか、
ということの答えがそのまま書いてあったから。

  これだけは覚えておいたほうがいい。結局のところ、佐伯さんの幼なじみの
  恋人を殺してしまったのも、そういう連中なんだ。想像力を書いた狭量さ、
  非寛容さ。ひとり歩きするテーゼ、空疎な用語、簒奪された理想、硬直された
  システム。僕にとってほんとうに怖いのはそういうものだ。僕はそういうもの
  を心から恐れ憎む。なにが正しいか正しくないか-もちろんそれもとても重要
  な問題だ。しかしそのような個別的な判断の過ちは、多くの場合、あとになっ
  て訂正できなくはない。過ちを進んで認める勇気さえあれば、だいたいの場合
  取りかえしはつく。しかし想像力を欠いた狭量さや非寛容さは寄生虫と同じな
  んだ。宿主を変え、かたちを変えて、どこまでもつづく。そこには救いはない。

だから、村上春樹も主人公を変え、かたちを変えて、同じ物語を繰り返している、
ということに遅ればせながら気がつきました。
そう、先だってオーウェルの「1984年」も読んだんですよね。
これも上の引用にあるようなシステムの話。
だから「1984年」からインスピレーションを受けた、というのもわかる。

で、そう思うとやっぱり凄いのは多くの人を引きずり込むその「物語力」。
長くなったので、いったんここまでで。

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本が本を呼ぶ、というようなことを前にも書きましたが、
またしても絶妙なタイミングで同じ題材を扱った小説を立て続けに読みました。
その題材は「女人国」、であります。

1冊目が倉橋由美子『アマノン国往還記』。
去年古本市で何となく買ってみたのをようやく読み始めたのですが。
500ページ以上もあるので、覚悟して読み始めたら
これがかなり読みやすく、かつおもしろくあっという間に読み終わってしまいました。
モノカミ教宣教師として、布教のために
長い間幻の国とされていたアマノン国に派遣されたP。
が、そのアマノンは女が支配する国だった。
男は徹底排除され、子供は人工授精で生まれ、
性交によって生まれた子供は卑しい生まれとして差別される…
というような国の実情を知ったPは
「男」と「女」を復活させる「オッス革命」なるものを目指す、というストーリー。

そして、ちょうど読み終わったころに目白のBOOK OFFで発見したのが
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「自分の著作の中で今のところ最も難解」と書いて
いたのを覚えていたのですが、帯をみると「日本に新・女人国家誕生万歳!
自由も倫理も性愛もない女の楽園を切実に描く」とあって、思わず購入。
こちらは日本の原発という「ケガレ」を引き受けることで成立した
女人国ウラミズモに亡命した女性作家が、
この国に国家らしさをもたらしめるために
出雲神話をウラミズモの神話に書きかえる…というストーリー。

どちらの小説も昔の神話とか物語とか小説とか色んなものが
下敷きにされていて、また二人の作家の作品世界からいって
この作品だけ読んでどう、というものではなく(ほかにも何作かは読んでますが)、
はっきりいって読みこなせていないのですが、
どちらの小説にも多く共通するものを感じ。
現代の(間違いなく確かに)男性社会を疑うことが起点にありつつも
女性に肩入れをしているわけではなくて、
「女人国」こそのいやらしさみたいなものも書かれていて
それが読み手に「思考してみる」ことにさせる、
その安易におさまらなさがあるなと。それがわたしにとっては刺激的でした。
それぞれの「女人国」のディティールもよく練られていて楽しめます。
前に書いたハックスリーの『素晴らしき新世界』もそういうところがあるけど、
こういうSF的設定の小説って、そういうものなのでしょうね。
あまり読んだことがないので、素直に感心したのですが。

ただ書かれ方は全然違って、「アマノン」はストーリーテリングを軸にした物語的書かれ方で
あるのに対し、「ウラミズモ」は主人公の女性作家が作中でいわく、
「何を書くか、ではなくいかに書くか、だ」との通り、決して読みやすくはないです。
万人お勧めできるのは「アマノン」だな。。。「アマノン語」とかかなり笑えます。
(でも絶版みたいですが。)

ところで読書会をやっていることもあって
「純文学」と「エンタメ小説」的なものの違いを考えることがあるのですが、
『水晶内制度』のなかにうまく表現しているくだりがあったので、引用しておきます。
(小説の雰囲気もわかるかと。。。)

   例えばウラミズモの民が物事をいちいちくそていねいに考えたくもない程疲れている時、
  退屈な日常や分かりにくい人間関係のもやもやした現実に適当な感情の鋳型をつくり、
  安定した単純な世界観の中でストレス解消することも必要だった。そんな時には神話は
  判り易く筋だけを取り出されどぎつくされ、その時の流行を入れて繰り返し使われた。また
  その一方文学のほうもこの神話から逃れることは出来なかった。まともに文学をやろうと
  するものは<中略>、日常を「スクナ、ナンジ」的世界観で切り取る事を批判して独自の
  世界観を提出する小説を書こうともするし、娯楽に堕した大衆的神話解釈とそれを大量
  生産するウラミズモのマスコミと戦おうともするし、同時に神話の枠組みだけを使って
  独自な深層心理の動きをそこに込めたり私小説的にしたり、神について考えたり、神と
  現実の錯綜する様を描こうとしたり、また正しく格調高い神話物語のための言葉を選んだ
  りした。

さて、「神話」ってなんでしょうね。


『アマノン国往還記』(1988)
倉橋由美子(新潮文庫)

『水晶内制度』(2003)
笙野頼子(新潮社)

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そうなんですよ、今年にはいってから全然レポしていませんでしたが、
読書会、なにげに10回目です。
本家「ジェーン・オースティンの読書会」の6回を上回る盛り上がり。
備忘録として、第6~9回の課題図書は以下の通り。

第6回 「プレーン・ソング」 保坂和志 @恵比寿で鍋
第7回 「存在の耐えられない軽さ」 ミラン・クンデラ @天王洲でブルガリア料理
第8回 「燃ゆるとき」 高杉良 @築地で刺身など
第9回 「道頓堀川」 宮本輝 @広尾でお好み焼き

えー、誰がホストだったかすぐ分かってしまうくらい、方向性バラバラで(笑)
それがまた「自分だったら絶対読まない」ものも「読んでみる」きっかけになるのも
まあ、いいところかな。

ということで、記念すべき第10回は初のマンガ。青年劇画「サンクチュアリ」ですよ。
c0051457_21363443.jpgカンボジア難民だった幼馴染の二人が日本を変えるべく
一人は表(政治)、もう一人は裏(ヤクザ)の世界へ…という熱きストーリー。
場所は@六本木はロアビル最上階のエラワンにて東京タワーを眺めつつ…という。
ヒルズやミッドタウンでなく、ロアビルってところがまたよかったな~。
一人増えて現在7人のメンバーが久々に全員揃い、
この漫画で人生変わった、というスペシャルゲスト氏もあり、
タイ料理を食しながら大いにテンションあがって大盛り上がり。

われら女子はついこのなかでどのキャラがいいか、とか
誰に感情移入するか、で盛り上がりがちだったのですが、男性諸氏はそういう読み方は
全然しないようです。世界観で読むというようなことを言っていましたが。
女は木を見て、男は森を見る、ようなものなのかな、と話していたのですが
そのあたり、もうすこし掘り下げてみたいとこです。
でも、やっぱりこのマンガは男のロマンだな、という感じがしました。

あ、あと今回から昨年10月に文庫本がでた柄谷行人「定本 日本近代文学の起源」を
1章ずつ読み進めるゼミも開講(笑)。完全に趣味です。すみません。
学生の頃に読んだ本が全面改稿ということで読みなおしてみたかったのを
メンバー巻き込むなって笑。学生のときみたいだ、と言われつつも
それなりに面白がって読んでもらっている(?)ようで、これも引き続き楽しみです。


サンクチュアリ(小学館文庫)
史村 翔 池上 遼一


エラワン六本木店、何気にトイレがガラス張りですごいです。
13階なんで至近にビルはないけど、どっかから望遠鏡でみたら
お尻丸見えだよなーみたいな笑。
夜景に向けてお尻をさらすという、ちょっと倒錯的な気分が味わえます。さすがギロッポン。

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