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そもそものきっかけは、昨年5月に河出書房から新装刊行された中上健次のムック、そこに掲載されていた中上と村上龍と柄谷行人の対談だった。語られていることは現在にも地続きと感じて、この人が今何を考えているのか知りたいと思った。震災後、ということが大いに関係していたと思う。色々な情報が氾濫するなかで、いままで色んなことに無関心すぎた私はどのように考えていくべきかわからないでいた。

読んだ本は以下。(読んだ順)
柄谷公人中上健次全対話(講談社文芸文庫)
闘争のエチカ(河出文庫) 蓮實 重彦との対話;再読
柄谷行人 政治を語る (図書新聞)
世界史の構造 (岩波書店)
「世界史の構造」を読む (インスクリプト)

柄谷氏の著作は難解なため、対話などの読みやすいものから追っていったところ、これがとてもよかった。特に「政治を語る」を読んでから「世界史の構造」に入ると、あらかじめ考え方の骨子がわかっているので、とてもわかりやすい。初心者にはおすすめです(笑)。

内容は「交換様式」から世界史の構造を捉えなおす、というもの。
A:互酬(贈与と返礼)
B:略奪と再分配(支配と保護)
C:商品交換(貨幣と商品)
D: X (Aの高次での回復)
この4つの分類について「政治を語る」から「世界史の構造を読む」の3冊において繰り返し語られる。基本的にAからDの順で主流の交換様式は移り変わってきているが、どの時代においても他の要素もある。今の先進国の主流はCだけど、AやBも残っている。Aはご近所様的な共同体とBは国家による福祉政策などを示す。かつてのソ連などの社会主義は国家による強制再分配であるからB、ということになる。

読んでみて、マクロ的に世界のありようが見えたのみならず、自分の将来に対する漠とした不安も解けた気がした。不安、というのは曖昧模糊としているから不安なのであって、どういうことなのか構造的に把握できれば、心構えとかどう考えるべきかの視点が定まる。焦点が合う、という感じ。この本の考え方が全て正しいかどうかはわからないけど、震災から1年、ここを立ち位置として生活も仕事も原発のことも考えていけるような、そういうものにやっと出会えたという清々しい感じがしている。柄谷氏の「日本近代文学の起源」も学生時代の私にとってエポックな本だった。やはりこの人は私のマイルストーンだ。

Cは終焉に近づきつつあって、最後のあがきとして戦争が起こる可能性は高い、と柄谷氏はいう。Cに代わるものとして、D(X)がある。Dとは何か、Aの互酬の高次の回復であるという。いわゆる社会主義はDを志向していたが、結局Bだった。DはCを通過しないと実現されない。Dとは何か。たとえば宗教とか共同組合とかそういうものが近い。

Dについて、たまたまこれらの本を読んでいる間に読んだ本が思い当たった。本当に偶然。だけど本が本を呼ぶ。近いうちにその本について書きます。



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